給我紅包

 11月3日婚礼の日だ早朝早暁6時遠くからドオンチャカチャカと楽隊が近づいて、ひと際大きく鳴り渡り、爆竹花火も打ち上げられ門の外で止まった。新郎が新娘を迎えにきたのだ。直径1メートルの大太鼓に鐘、赤い衣装の楽隊員は賑やかに打ち鳴らしている。

 新娘の身内は門内に入り、門は閉ざされた。新郎は花束を抱えたまま門外で開門を待つ。なにか内外でやり取りをしている。内では「給我紅包」と叫んでは10センチ角の覗き窓をあけて赤い包みを受け取っている。内から「祝儀をくれ!開けないぞ」と言っているのだ。

 紅包をたくさん出してやっと中に入った新郎は、純白の花嫁衣裳も初々しい新娘に花束を渡す。新郎一族は別室で労をねぎらわれ、一方新娘の部屋では、男も女もなにか面白おかしくやりとりして抱いたり頬にチュウしたり、足を引っ張ったりして互いに写真に収まる。新娘の折角の衣裳も乱れる有様だ。これはいかに新娘がみなに別れを惜しまれているかというところだろう。