返り討ち

 入梅して間もなくの日だった久し振りに廊下に置きっぱなしの箱を移動した。そのとき箱の下に潜んでいたムカデを見つけ、ハエ叩きで滅多打ちにして殺した。”また、ムカデが出没する厭な時候になった、いずれまた出てくるだろう”と案じていた。

 昨夜、11時深い眠りに入りかけたそのとき、腕の下をすーとなにか擦り抜けた感じがした。ムカデだと飛び起きた時はもう遅かった。腕にはムカデの噛んだ痕がくっきり、以前殺したムカデの一族の復讐か?考える間もなく同じくハエ叩きで滅多打ちにした。見事返り打ちにしたが、噛まれたところを治療しなければならない。この度は先ず傷口の周りを指でつまみ、血を絞り出し、又口で吸い出した。そのお陰でひどい痛みは感じずすぐ眠れた。一夜明けた今日も傷が疼くことなく、少し赤く晴れているだけだ。