夢と消えた

 南九州から北海道にかけて、太平洋側で金環日蝕が見られるというので、カレンダーの5月21日の欄に7時27分と書き込んだのは5月の初めだった。

 この地では完全なのは見られないようだが、子どもの頃日蝕を見るのに、ガラスの破片にロウソクの炎から出る煤で作つたことを、懐かしく思いながら今日の日を待っていた。

 昨夜休むときには完全に忘れていたが、今朝は5時過ぎに目が覚めたとき雨が降っていた。日蝕のことは忘れたまま何時の間にか夢の中へ、起きたのは7時50分だった。小さな雨が落ちていた。テレビの前に座り「梅ちゃん先生」を見た。

 ドラマが終わり「あさいち」が始まつて、今朝の日蝕のことを話題にしだしてやっと思い出した。雨は上がっていたが曇っていた。8時30分頃は日が差し始めていた。この時間なら今生最後の天体ショーが見られたのに、夢と消えた。