ついに食べました

 「これ食べてください」となにやら切り裂いたものを口の中に入れ「美味しでしょう」と返事を促され「うんー鴨だろうか美味しい」と返事をした。

 「これは狗肉よ」・・・狗肉店の前に繋がれている、痩せがれた可哀そうな黒い犬の姿が思い出された。私はあの犬肉だけは食べたくないと思っていたのに、とうとう喉を通り胃袋に入ってしまった。

 袋から出されたその形は鳥の脚とは違うまさに四足の形をしていた。食肉用の狗で高価らしいが、再び口にしなかった。