墓まいり

 それほど暑く感じなかったので墓に参った。雨も降ったし気温も高くなったため、墓石の横の空き墓地は草ぼうぼうである。

 用意していた鎌で草を刈る。周りも綺麗になり広々となった。広い墓地に参詣者はただの二人、あちらとこちらで線香の匂いがし煙がゆらゆらとあがる。

 終わって広場に戻ると、車が一台来た。男女二人、挨拶を交わすと近い年格好のためか男性と話が弾む。

 なんとその人朝鮮生まれで、予科練出身、旧ソ連国境近くの飛行隊に配属され、まともな飛行機もない隊で戦闘、多くの同期が戦死したという。

 なんだか自分と似たような戦中の前歴に不思議な気がした。近く生き残った同期と、鹿児島の特攻基地があった知覧で同期会をするという。