去年の今頃

 
 昨年中国で過ごした二週間、中でも食べ物の思い出は始めて味わったこともあり懐かしい。

 大学の前の通りで売られていた「太郎」なる焼き物はパンに似ていて美味しい。焼いている女性に「次郎」はありませんかと聞くと「次郎はまだ寝ています」という返事だ。周りの客もやりとりに思わず笑い声が上がる。本当は次郎は無いのだ。われわれが行くと、トンチンカンのやりとりがあるのでいつも面白がって人が集まり喜んでくれた。


 蟠桃(pan tao)という平たい桃は安くて美味い。主に中国北西部の新疆、山西地区の産だ。実は日本でも有る硬いものだ。かぶり付くのには丁度都合がいい厚みだ。少し持って帰りたいと、かばんの底に潜ませていたが、植物検疫に引っかかるので、帰国した時に申告し差し出した。