蓬莱柿(ほうらいし)

sakuraniikari2006-10-04


 果皮が薄く、赤っぽい肌色で、濃厚な甘みが特色な唐柿(とうがき)が最近見られなくなつた。わが町でも生産しているのは、西洋種であろう。

 新聞によるとこの辺でもお目に掛かれるのは、県西部、また生産地の北九州に限られているようだ。このとうがき、べとべととした甘さで、口の中でとろけるようであった。

 S市に住んでいたとき、果実好きの父が狭い庭にとうがきを植えた。やがて実が付きはじめたとき、私が病で臥せるようになった。良くて2年悪くすると・・・という病、ある日縁側の外が明るくなりとうがきの木は伐り倒されていた。

 近所の人に、庭に生り物の木を植えては縁起が悪い、伐った方がいいと言われ父が伐ったらしい。外地生活のとき土地をもとめては、桃、栗、なし、りんご、柿と植えていた果物好きの父が、私を選んで、即、とうがきを伐り倒したという。父が愛していたとうがきの木を!そういうことで新聞の”とうがき”の記事は、あらためて父を想い出させた。