泰安市に向う (二)

 イン中国から3日目、暑い。30度はオーバーしているだろう。午後1時半、長途バスの泰安行きに乗る。親切にも運転手は座席の一番前に席をとってくれた。

 車窓からみる田園風景は麦秋で、黄色の絨毯を敷き詰めたような景色がどこまでも続く。広い広いその一角にはたわわに実った桃園あり、緑の野菜畑ありで眼を楽しませてくれる。途中の休憩地点でも親切な運転手は、トイレの位置を教えてくれたり店へ案内してくれたり感謝の一言。

 予定どうり5時半到着。張、石さん二人が迎えてくれた。張さんかなり肥ったようだ。駅から車で5分新居に着く。

 再会で話しが弾む中、突然大きな声がして人が来た。隣人だという。見れば小さな男の子もいて恥ずかしがってもじもじしている。「你好,回來了」と挨拶すると安心したのか近づいて話しはじめた。隣の幼稚園児で毎日帰宅したとき張さん宅に寄るらしい。簡単な言葉の発音を学ぶ。勉強は嫌いだがお絵かきが大好きらしい。絵が年齢の割りには上手だ。日中友好。以来毎日お話をして帰るようになった。

 翌日やはり暑い。10年前の泰安はいつも煙で曇っていたが、石炭の街は返上観光の街として再出発、スモッグようなものはない。暑いが泰山へ向う。車で走ること10分ほど、見覚えのある登山口が見えた。右脇に駐車。これが間違いだったとは知らず。

 登山歩道のため静かだが暑く、登りなのできつい。涼しそうな池に移動、でも暑いので帰途につく。車に乗り走り出したとたん、ワイパーに紙片が挟まれているのに気づく。見ると駐車違反で、「警察に出頭せよ」とのお達しだ。張さん早速友人の警官に電話をし、もみ消しを図る。案外これが効くのが中国。あっぱれ張さん。

 暑さもあり昼は動かず、夜市役所前に行く。広大な広場ではダンス教室、ローラースケート教室、スケボウ、野外映写、遊技場などがありいずれも有料大勢の人でいっぱいだ。公共の場で金儲けとはいかにも中国らしい。