忘れえない終戦記念日

sakuraniikari2007-08-15


 62年前、お国の為にと小さな一身を捧げ、連日の爆撃、艦載機の銃撃に耐え、学友であり戦友であつた同期の戦死の悲しみを戦意高揚とし、今日はわが身か、と炎天下課業に精出していた午後、”総員聞け”の司令の訓示で終戦を正式に知った。
 悔しがり泣き崩れるような若き士官、先任。何故か怯えたようにも見られる班長、みなそれぞれに思いは異なるだろうが、唯一つ、みな同じで確実なのは、今からの”命の保障”であった。

 敗戦といってもそこは航空隊、いつ襲撃を受けてもと臨戦態勢はとかれなかった。しかし我々練習生は、敗戦を悲しむかのように、本当に久し振りに降る大雨の中、居住区へ帰った。その日はわれわれ分隊の入隊記念日であった。
夕食時われわれ練習生の食卓には、ぜんざいが並んだ。
夢にも見られないぜんざいを口にして、さすがに練習生の緊張の糸もほぐれ、満足と安堵に穏やかな少年の顔に戻っていた。